
○雲仙に雲がかかると風。(島原)、多良岳に雲がかかると雨か風。(佐賀)、天山に雲がかかると雨(佐賀)。金峰山にちぎれ雲がかかると風。(熊本)。 (いずれも低気圧や台風の接近を意味する。) ○冬の北東(きたごち)時化のもと(佐賀、熊本) ○おとし風(北東)が吹くと雨。丑寅(うしとら)の風は大風(以上福岡)。冬の東風(こちかぜ)すぐに雨(熊本)。九月の東風は大荒れ(各地)。 (低気圧や台風の接近。) ○辰巳(南東)の風は大風(福岡)。こちばえ(南東)が吹くと雨(熊本)。押穴 (南東風)吹くと大風(島原)、乾(北西)に雲行けば大風(佐賀)。 (いずれも南東風は低気圧や台風がごく接近した時の風である。) ○雲が北に行ったら雨。南風は雨(以上福岡)。台風が西側を通る時は風が強い。(各地)。 (低気圧や台風が西側を通る時の風向変化は、北東から時計回りに南、面となり、南風の時が最も強い。南西に変ると峠は越える。) ○乾ごみは大雨(佐賀)。いね風は天気(福岡)。 (いずれも北西風のこと。冬の北西風は北側の山脈のため、有明海は晴れることが多いが、多良岳、天山、脊振山のおろしとなって、風は強く寒い。) 風向と天気や大風との関係は、各地に多く見受けられるが、冬と夏では逆になることもあるので、季節をよく考えること。しかし今や天気図を見た方が早い。 ○冬雷は錨を切って逃げよ(各地)。冬場の雷は30分以内に突風(熊本)。 (東シナ海低気圧が発達して日本海に抜ける時、寒冷前線または不安定線に伴って雷が発生することがあるが、発言するような前線の通過前後には強烈な突風を伴うことがある。) ○船魂さんがせわしく鳴くと時化(佐賀)。船魂さんのさいなはる時は天気が悪くなる。船魂さんのいさますと雨(以上福岡)。 (風が無く海が静かな時、筑後川の川口付近で、川の真水が海の塩水の上を流れて、海面近くに密度の不連続面ができることがあるが、櫓を漕ぐとチチ……と音がするとか、船が進まないとか、船ゆうれいという内部波の現象が起こるときのことを言っているらしい。要するに冬静かな時は、天気悪化の前兆ということ。)
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